「新たな協同を担うJA人づくり」全国運動方針
全中から発表されている今回の研修会の目的

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全中の開催目的は、こういう狙いでした。


1 運動目的
 米国発の金融危機に端を発する世界的な景気悪化をうけて、市場原理主義への過度な偏重を見直す動きが強まってきており、協同組合理念にもとづく事業・活動が再評価されつつある。
 こうしたなか、第25回JA全国大会において「大転換期における新たな協同の創造」を決議した。また、国連は2012 年を国際協同組合年とすることを宣言した。
 国民に安全な農産物を安定的に供給し、地域の農地と緑を守ることは組合員にとってはもちろんのこと、地域で暮らす人々にとっても大切な課題であるとの認識が深まっている。また、高齢化と少子化がすすむなかで、地域が一体となって高齢者支援や子育てに取り組む地域福祉の仕組みづくりが重要な課題となっている。地域の抱える様々な課題解決には、地域で仕事をし、そこで暮らす人々の相互扶助の精神に基づく新たな協同が不可欠である。
 農業と地域社会に根ざした協同組合であるJAがその役割を発揮するためには、JAを支える組合員・役職員が地域の仲間と共に自分達の営農や暮らしの課題を協同して解決するという協同組合の理念を学び、事業と組織活動の実践を通じて身につけていくことが必要である。
 「協同組合は教育に始まり、教育に終わる」といわれるほど協同組合において教育は重要である。JAグループではこれまで教育・学習活動を大切にし、実践してきたが、今日のJAをめぐる情勢をふまえ、あらためてJA運動の基
礎となる組合員・役職員の学習・教育活動の強化をしていくことがJAにとって重要な課題である。
 新たな協同を担う人づくり運動は、これまでJA運動を支えてきた組合員層の世代交代がすすむなかで、今後のJAグループの組織・事業・経営基盤を支える次世代組合員とJAとの絆づくりの取り組みでもあり、トップマネジメントはもとより、JAグループ全役職員をあげた取り組みが不可欠である。
 第25回大会決議「新たな協同の創造」を実現するとともに、将来のJAの基盤づくりを確実にすすめていくため、JA・中央会・連合会・家の光・日本農業新聞・農協観光などJAグループが一体となり「新たな協同を担う人づくり」全国運動に取り組む。

2 運動期間
第25回JA全国大会決議実践期間をふまえ平成22年度から平成24年度を第1期の運動期間とし、長期的な観点から着実に粘り強く運動に取り組む。

3 JAにおける重点実践事項
(1)新たな協同を担うJA人づくり方針、具体策の策定実践
 全国運動を組織的かつ着実に実践するため、JAは、中央会・連合会等と連携をはかり、全国・都道府県の方針をふまえ、人づくり方針、人事労務管理基本方針を見直し、または、策定し、あるいは中期計画への反映等をおこない、理事会・総会等で組織決定して、実践する。
また、2012年の国際協同組合年に向けたJAグループの取り組みと一体的に取り組む。

(2)JAトップ層の自己学習・相互研鑽活動の強化
 JAトップリーダーである組合長・常勤役員が、JAをめぐる情勢変化をふまえたJAビジョンと戦略づくり、実践にむけたリーダーシップを発揮することが何よりも重要である。このため、JAトップ層が率先垂範で自己研鑽・相互学習に取り組むとともに、中央会・連合会等のセミナーやJAトップ層同志の研究会等に積極的に参加する。

(3)組合員学習・教育文化活動の実践強化、協同組合学習の強化
 協同組合としてのJAの主役は組合運営・組織活動・事業利用の主体である組合員であり、世代交代、新規組合員の加入がすすむなか、対象別の教育研修、組合員への情報提供などを強化する必要がある。また、協同活動への実践、組合運営の参画、事業利用などが協同組合としての生きた学習の場であり、JAと組合員をつなぐ様々な場づくりに取り組む必要がある。
 このため、JAにおいて創意工夫ある組合員学習計画を策定し、単年度事業計画に位置づけ、組合員学習・教育文化活動を実践するとともに、事業・活動・参画を通じて生きた学習の場を提供する。
また、役職員が協同組合について理解を深めることが組合員学習活動の前提であり、役職員の協同組合理念にかかる教育研修の充実、自主的な学習会の促進、地域の協同活動への参加、農業体験学習の機会を積極的に確保するなど協同組合学習を強化する。

(4)「活力ある職場づくり」を通じた職員育成
 JAの合併・大型化や事業縦割りによる管理運営がすすむ中で、職員の自律性、職場の一体感の低下が指摘されている。今日まで、JAグループでは、能力主義人事管理制度、計画的・継続的な教育研修を柱として職員教育に取り組んできた。今後はこれらに加え、各支所・事業所ごとの異なる地域実態をふまえたチームワークのとれた自律性の高い職場・現場づくり、自ら改善・改革を実践する職員育成をすすめていく必要がある。
 このため、職員育成の第3の柱として、職員一人ひとりが仲間と共に職場実態をふまえつつ、組合員の立場にたって改善を続ける「活力ある職場づくり」に取り組み、その実践を通じて人材育成を図る。なお、職場づくりは職員の一人ひとりの意識改革、職場風土改革でもあることから、中長期的な課題と位置づけて、愚直な継続を基本として取り組む。

(5)JA戦略型中核人材の育成
 組織のビジョンを示し、メンバーをまとめ実践を促すリーダーの力が組織の命運を決める。このため、中堅職員の中から、将来、中核として活躍が期待される候補者を選抜して、県中央会が実施する「JA戦略型中核人材育成研修」あるいは全中主催の「JA経営マスターコース」へ派遣し、将来のJAリーダーとしての動機づけ、学習機会を確保する。
また、中核人材研修等を通じて県域・全国域での仲間づくり、相互学習を促し、中核人材の一層の成長を支援する。

4 全国運動の普及推進対策
 JAの重点実践事項を支援推進するため、中央会・連合会・家の光・日本農業新聞・農協観光等が連携を強化し、「新たな協同を担う人づくり」全国運動の普及推進対策に取り組む

(1)全国方針をふまえた都道府県方針の策定とJAへの指導推進
全中として全国運動方針を決定する。全国方針をふまえ、都道府県中央会として県段階の人づくり方針、具体策を見直し、または策定し、あるいは中期計画への反映等をおこない、理事会・総会等で組織決定し、JAへの指導推進をはかる。

(2)人づくり全国運動の意思統一
 JA組合長を中心とした組合員・役職員をあげた全国運動の機運醸成、意思統一のため、JAトップ層を対象とした人づくりトップセミナー等を開催する。

(3)JAトップ層の学習活動の支援強化
 JAビジョン・戦略づくりと実践のためには、何よりもJAトップ層が積極的に学習活動に取り組むことが必要であり、トップフォーラムや常勤役員研修会等に積極的に取り組むとともに、トップ層同士の自主的な研究会活動の支援をおこなう。

(4)組合員学習活動コーディネーターの養成、実践交流・学習活動の支援
 JAにおける組合員学習活動を実務レベルで推進するリーダーを養成するため、全中・都道府県中央会が一体となって「組合員学習コーディネーター」養成に取り組む。
 また、各JAの実情に応じて多様な創意工夫ある組合員学習活動が求められている。実践JA間で知恵や悩みを共有化しながら、課題解決につなげていくため、全中・県中が一体となって実践JAにおける全国実践交流・学習活動、ネットワークづくりを支援する。

(5)JA役職員の協同組合学習の推進強化
 組合員学習活動の前提としての職員の協同組合学習を強化するため、階層別研修や資格認証試験を通じて協同組合の基礎知識の修得を徹底する。また、家の光や日本農業新聞を通じた自己学習の促進、協同組合セミナー開催、学習教材の作成普及、地域の協同活動の参加促進に取り組む。

(6)活力ある職場づくりの推進
@ 階層別研修等の徹底によるJA職員の役割の認識と基礎知識の修得
 JAと中央会が役割分担をはかり、JA職員の基本教育として初任職員、中堅職員、監督職職員、管理職職員への階層別研修を実施し、各階層の職員が果たすべき役割についての認識を徹底する。また、JA職員としての基礎知識を修得するため資格認証試験の受験と学習を徹底する。
A 職場づくりコーディネーターの養成、実践交流・学習活動の支援
 職場づくりを実務レベルで推進するリーダーを養成するため、全中・都道府県中央会が一体となって「職場づくりコーディネーター」の養成に取り組む。
 また、各JAの実情に応じて多様な創意工夫ある職場づくりが求められる。実践JA間での知恵や悩みを共有化しながら、課題解決につなげていくため、全中・県中が一体となって実践JAにおける全国実践交流・学習活動、ネットワークづくりを支援する。

(7)JA戦略型中核人材育成研修の全国展開
 第24回JA全国大会決議にもとづきJA戦略型中核人材育成研修に取り 組み、21年度30都道府県中央会で研修を実施し、約500名が参加した。
今後、全中・県中が一体となってブロック実施を含めた県段階の体制整備をはかり、全JAにおける受講機会を確保する。修了生のフォローアップ研修に取り組むとともに、全国発表大会等を通じて全国的なネットワークを構築し、相互学習・相互研鑽を支援する。

 
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